- HOME >
- 院長のひとり言
院長のひとり言
2009.08.21言葉の暴力への恐怖
患者さんは自分の好きな医療機関を選ぶことができます。でも、私たち医師には患者さんを選ぶことはできません。すべての来てくださる患者さんに誠心誠意、その患者さんにとって最良の医療を提供する努力をしているつもりですが、こちらの気持ちが伝わらないこともあり、残念な思い、不愉快な思いをすることもあります。ただ、たいていの場合にはその思いを引きずることはありません。
今日、患者さんのご家族からの理不尽なひどい言葉の暴力により、精神的にひどく疲れ、外来診察さえしんどくなってしまいました。ご自分の希望どおりにならなかったことについて、午前の診察中に電話をしてこられて、「院長を出せ」と電話口で職員をどなり、電話に出た私に、まるでやくざの恫喝のようなしゃべり口でまくしたて、電話に出ている私の心臓はバクバク、足もがくがくしてきました。その方からの当院への対応についてのどなりこみクレームは今回に限らずこれで3度目です。回を重ねるごとに私の精神状態は不安定になっています。お怒りの原因についていかに理不尽であるかを何とか説明しておさめていただきましたが、精神的に立ち直るのにほぼ一日を要しました。
こんなにもクレームをつけてこられるならば、よその医療機関に変えていただくようにお願いしても、他に行くところがないと言われます。その気になればいくらでもありそうなものなのに…。こちらにかかられるつもりならばもっと友好的に接してもらいたいものです。明日、その方のご家族が受診に来られます。今日の電話のフラッシュバックがないか、冷静に対応できるか、不安を感じています。
明らかな暴力行為については警察に相談することもできますが、言葉の暴力には何の対抗手段もありません。これから先が思いやられます。
最近教育の場ではモンスターペアレンツが問題になっています。学校の先生の中には、学校に復帰できないくらい傷つく先生がおられることも漏れ聞きます。
相手を思いやる心がいろいろな場で失われつつあるのでしょうか。